ぶっきらぼうなロマンチスト

「桜は!!お前の代わりに病室で泣く母親の面倒見てて、お前の代わりに花を届けて…なんでお前がなにもしないんだ!!桜は誰にも弱音を吐けずに一人で頑張ってるっていうのに、なんで、なんでお前が逃げれる?こいつを笑顔にするのが父親の仕事だろ!!逃げんな!!」

そのあまりの気迫にお父さんは呆気に取られていた。彼女はこれ勘弁とどこかに消えていった。しかしお父さんは「警察呼ぶか?」だの「言いがかりはよせだの」ごたごた言っていた。そして今にも殴りかかりそうな大地さんを後ろから抱きしめとめる。

「こんなやつのために、殴らなくていい。いいの!!本当に!!」

「でも桜ぁ!!」

「こんな最低野郎、父親でも何でもない!!」

視界がじんわり歪んだ。もう、夢見た家族が終わろうとしている。
彼も今にも泣き出しそうな表情をしている。

「……私にお父さんはいなかった。ただ、それだけなの」

お父さんは私を見たとき一瞬、なにか壊れたように不気味に笑っていた。
そしておもむろに去った。どこか足取りはふらついていた。
落ちたラナンキュラスは誰かに踏まれてしまってボロボロだった。
みぞれでべちゃべちゃな足跡がついていてみるも無残な姿だった。私たちはあんまりにもやるせなさを背負っていて、病室に行くことができなかった。
そしてその夜、お母さんは静かに息を引き取った。お母さんは一度もお父さんと話し合うこともできなかった。