ぶっきらぼうなロマンチスト

お母さんの病室を訪ねた後、花屋に行くといつも彼がいた。彼は真面目に手伝っているらしい。高校三年生の彼は就職先を見つけつつ、自分の家も手伝っているみたいだった。
前みたいに店主であるお父さんに文句は言わず「はい、はい」と切れのいい返事である。髪の毛も黒くなって、短く後ろを刈り上げている。その変わりように驚いていると、ふいに彼から声をかけられた。見慣れない彼にどきっとしてしまう。

「今日はなににすんの」

「大地さん。すごくさまになってるね」

「似合う?」

「…うん、とっても」

嘘じゃない。本心だ。彼はじんわり頬が赤くなって口を噤んだ。
なんだかいたたまれない空気が流れて、話しにくくなる前に口火を切った。

「…このラナンキュラスをください」

幾重にも重なる花びらでコロンとした形のかわいい花である。
その薄ピンクなものを指さした。彼はせっせととり、透明なナイロンでくるんとくるむ。
ピンクと黄色のリボンでラッピングしてくれる。

「どーぞ」

「ありがとう。ピンクと黄色のリボンの組み合わせかわいいね」

「……まあ、俺のセンスだし?」