ぶっきらぼうなロマンチスト

バイクの後ろに乗せてくれた彼は病室までついてきた。送り届けるのが仕事だとそんなことをいって。彼に静かに入ってね、言いというまで話さないでねと口酸っぱく言った。選んだ花は秋を彩るコスモスだ。病室は異様なほど静かで、テレビの音などもなにも聞こえなかった。少し寝息が聞こえてきて、いつものルーティンを行おうとしたが、カーテンが思いっきり開いた。とても四十代と思えない皺を携えたお母さんが「お父さん!」と力なく叫んだ。私はその痛々しい姿に涙が滲みそうになりながらも努めて明るい声をだした。まるで気づかないようにである。

「お母さん、商店街のね、花屋さんの息子さんが一緒に来てくれたんだ。ほら、いつもお父さんが花を買ってくれるところだよ」

彼はゆっくりゴクリ、と息を飲んだ。そして驚いたように目をまん丸にした。嘘を私が付いているからかもしれないし、回復傾向だと言った容態の悪さを見せつけられたからか。