ぶっきらぼうなロマンチスト

「そうかい。今日も行くんだろう」

「はい」

あ、と名案と言わんばかりに店主は指を弾いた。

「なら大地に連れてってもらったらいい」

「え」

「は!?」

二人同時に声が出た。大地は勢いよく振り返った。
ただ店主は止まらなかった。にこにこと続ける。

「お前バイクの免許あっただろ?送ってやれ。まあ配達みたいなもんだ」

正直困った。お母さんの様子を知られると余計心配をかけてしまうのが嫌だった。
ここの店主はお母さんの馴染みだからかたまにおすそ分けとしてパンやらなんやらくれる時があった。

「勝手に決めんな困ってるだろ桜が」

大地は少し不服そうに異議を申し立てた。桜は内心ほっとした。
だが。

「今日の時給二倍にしといてやるよ」

「お願いします桜さん僕を選んでください」


店主の一言ですぐに手のひらを返して、頭を下げて手を伸ばしてきた。桜に拒否する勇気はなく、力なく「ありがとうございます」とお礼を言った。