俺から瞳、逸らさないでね



言われて右手にアイスを持っていたことを思い出し、袋をあける。

そこでハッとした。

透は玲音の分も持ってるから、両手ふさがっててアイス開けられない……



「ぁの」



振り向いてから、そんな心配は無用だったと知る。



「ブフォ」



失礼ながら吹き出してしまった。

友達のアイスを口でくわえて、ん?と真顔で小首をかしげる透。

袋に入ってるから、くわえられてもいいやとはならんだろ。

自分のアイスの袋をあける透の口から、パインアイスを引っこ抜いた。

ほらちょっと潰れてんじゃん。



「ひとが食べるアイスをくわえるな」



笑って気が緩んでしまった。

つい本音が漏れてハッとする。

おそるおそる、静かな空を、そっと斜め上に繋いだ。



「ことちゃんを笑かそうとおもって」



なぜか嬉しそうな透は、私よりたのしそうに笑っている。