「フルーツ系?チョコ系?」
空気に溶け込みそうな声が耳に入る。
思い立ったときから買うものは決まっていた。
のに思わず目が泳ぐ。
「…………チョコ……、?」
ーーピッ……ガコンッ
目の前に差し出された、【たっぷりチョコとろけるアイス】と、……スマイル。
「はいコトちゃん」
「あ?……りがと」
不思議に思いながらも自販機に百円を投入すると、人の体温が肩をかすった。
うんともすんとも言わず、そんなところで待たれたら選びづらい……
「今日のレオン気分あててみて」
つい意味のない質問を雑に投げかけてしまった。
透はそんなこと気にする様子もなく顎に手をあてて、少し悩んだあと、迷うことなくボタンをおした。
「……パイン」
「あいつなんでも食うよ」
「けどこれ今ブーム」
パインアイスを手にふっと微笑む透につられて、つい顔がゆるむ。
「一緒に食べよう。ことちゃん」
「……うん」
慎重にうなずき、来た道を振り返った。
「チョコとけるよ」
「あぁうん」


