「あかん、おれもう無理や……頭おかしなる。朝起きたら赤点とって補修してる自分の姿が浮かんでそれは大変恐ろしいねんて……それで最近悪夢まで見るようになって……あのな、おれ0点とってテスト用紙口に入れて隠ぺいしようとする夢見てん、やばいやんもうおれ、そんな大人になりたない」
「そうだねぇ、そんな大人にならないように明日の小テストの勉強しようね」
「うぁあ、あかん、勉強って言葉を口に出すな」
「勉強勉強勉強勉強」
「うゎぁ〜〜〜ん」
バカうるさいお昼休み。
また始まった痴話喧嘩を聞き流しながら、手元にある紙へと視線を落とした。
さっき返却された、わたしの小テスト。
いつまでたっても進展しない。
空白だらけの解答欄と、ふたりの関係……。
「ほれ、さっさとやれ」
「……やったらなんかある?」
……お?
珍しく進展の匂いをかぎつけて視線をあげる。
「なっ……なんかって……、なによ」
「いいことあるなら頑張るわ」
玲音は顔を赤くさせながら、実唯を真っ直ぐ見つめて言い切った。
こんなことはめっったにない。
にしても、なにそのアピり方……
こっちまで赤面、恥ずかしい。


