「んとに……いつ、付き合うんだか……見張ってるから」
悪い気分じゃない。
学校は行きたくないけど……
バクバクする心臓をごまかすように、勢いよく教室のドアをあけた。
するとなぜかあの時のように、教卓の前で頬杖をつく透と思いっきし目が合って、
「コトちゃん好き……っ」
ーーガラガラ、ピシャン……。
静かにドアを閉めると、教室の中で大爆笑が起こった。
いや……むりむり、なに
実唯の爛々とした目に負けて、またそっとドアを開ける。
もう逸らせない。
離せない。
「じゃなくて……ちが、いや、それは本気なんだけど……。」
頬や耳をピンク色に滲ませながら、初めて私から目を逸らした透が、……初めて可愛いと思った。
それでも私を捉えようと頑張る瞳も。
「……透って変わってるよね」
わたしを好きな瞳も。
かわいくて、おもしろおかしくて、
……笑ってしまう。
「……ABだからね、……よく、言われる」
透はやっとわたしの目を見て、幸せそうにはにかんだ。


