俺から瞳、逸らさないでね



「コトも私と一緒のでいっか。透くんこれ好きって言ってたし」

「え、なに。いや勝手に決めないで。あげるとかひとこともいってな」

「はいこれ混ぜてえ〜〜!はいよお!」

「……」

「んでこれを〜」

「ミユそれ塩おぉぉ!!」

「ああ」

「それは胡椒!!!……だね。砂糖はこっち」

「なんだ、紛らわしいね。粉だけに。あはっ」



とりあえずよそ見してる暇はない。



「……でも、ほんとに本気だよ。」



実唯は混ぜる手を止めて言った。



「実唯が悩んでたら、玲音のはまってる食べ物教えてくれたり、……「俺は溶かす前のチョコの、ここの角とかポキって折ってもらえるだけで幸せ」とか言って励ましてくれて」

「なんか透くんとコトって似てるかもっ」



鼻にクリームをつけて、ふにゃりとはにかむ実唯がかわいくて、また頬をつっついた。



「……いいから、集中して」

「はあーい」



実唯は素直に返事をして、溶かしたチョコレートをかき混ぜた。



「…………ふ、」



溶かす前のチョコの欠片だけで幸せって……ばか

実唯に隠れてひとりツボに入った。