「冗談、じょーだん」
「わたしと透くん。二人でよく話してたでしょ。」
「……うん」
たしかに私はほとんどふたりの後ろか少し離れたところにいたけど。もともと一人が好きだし。
「そのときの、些細な行動とか、目線とか……言葉とか。ぜんぶ、コトのことだったから」
え……
「こそっと聞いてみたの。好きな子って、コトなの?って」
「そしたらすっっごく照れた顔で、バレた?って言われて、もぅ……きゃーってなった」
実唯の話に頭がついていかない。
ただただ顔が熱くて……、
「それで、」
「もう、もういい、いいよ、……」
頭の中に透がいっぱい浮かんで、言葉とか、いま耳元で言われてるみたいな感覚になって、触られた肩とか、髪とか、変にじわっとして……っ
「あー……コトが照れてるううぅぅかわいぃぃぃ」
「あーうるさいうるさい」
あの瞳がなにを捉えているのか知ってしまったら。
今もう、想像の中の透とでさえ目を合わせられない。
吸い込まれて、……それで終わりだ。


