俺から瞳、逸らさないでね



「見ちゃう」

「でも……なに話そうって考えてるうちに一日終わってる」



そう言って目を細めた透は、寂しさを吐き捨てるようで、幸せを噛みしめるようにも見えた。


ほんとに……すき、なんだ


まさかそんなに深く考えているとは気づかず、心のなかで適当言っていたのは私のほう。



「……ぐすっ……わがる。」

「あはっミユそれしか言わないね。」



ん?


梅干しを食べたみたいに険しい顔で泣く実唯と、それをほどけた笑顔で見つめる透。


これ……、って……



「……透くん。」



ミユが大真面目に透の手を取り、ぎゅっと両手で包み込む。


や、ちょ、っと、実唯それはやめといたほうがいいな。



「わたしたち今日から乙女同盟組もう」



わたしの勘があたってるとすれば



「あ、片想い同盟にする?」



それはちょっとNGかも……!!



「み、実唯!」



ガタンッ。


勢いよく立ち上がりすぎて、椅子が後ろに倒れた。椅子もふたりの驚く顔も今はそんなことどうだっていい。



「どこ集合何時にする」

「……へ。がっこおわったらそのままいっしょいくんじゃないの?」

「そ、そっか」

「うん?」

「……うん。じゃあはい決まり。おわり。」



とりあえず隙間をなくすように喋り続け、多少強引に話を終わらせた。


隣に感じる気配と視線に目を逸らして……。