少しの攻防のあと、本気で泣きそうな顔をした玲音が力なく呟いた。
こりゃだめだ。
「実唯」
「いいの、いいのあんなやつ。拗ねて構ってほしいだけ。んっとに子供なんだから……」
言いながらも視線は、玲音の哀愁漂う背中に向けられている。
気になるくせに強がって……ああ、変にこじらせちゃった。やっと進展しそうだったのに……
「透くんごめんねっ」
「うまくいくといいね」
……こいつのせい
わたしが睨む前で、ミユは照れくさそうに「バレたか」と微笑む。
健気だ。
「それでっ?透くんの好きな子って、どんな子なの?」
「うーん」
どうせ適当言ってんだから。
「ムカつく。」
……え?
どうせ適当言うんだから聞く価値ない。そう思っていたのであまりに予想外過ぎた。
ムカつく……ってなに?好きな人の好きな理由がムカつくって、
「……わがるううう」
なんでだよ。
実唯はぎゅっと目を閉じて唇を尖らせる。
「よく分かんない」
「わがる、わがるよおおお」
わかんの、わかんないの、どっち。
「でも見てたい」


