むっちゃツボ入っとる透。いやなんで。我ながら面白い要素一個もなかった。
「コ、コトすごい!!コミュニケーションの腕上げたねえ」
「やめて、それを言うことによってより気まずさが増す」
実唯に不器用な全力フォローをされて、顔が熱くなる。こんな思いをしたのは本当に久しぶりだ、ああ。
「こほん……とりあえずこれは誠実で乙女な会だから」
「……ああ、俺のことだ」
何言ってんだこいつ。
実はやっぱりヤバいやつなのかと警戒していると、またあの瞳がわたしを捉えた。
「え!透くんも恋してるの……?」
「……うん」
実唯の弱々しい問いかけに少し間が空き、透は簡単に頷く。
いつの間にか椅子を持ってきたらしい透は、わたしと実唯の間に割って入ってきて、ご機嫌に背もたれを肘置きにした。
「誠実に乙女な恋だよ」
声のトーンや表情からして全く深刻そうでない。これのどこか悩める恋する乙女なんだよ。
どう見てもチャラい。口説き文句にしか見えない。
「きゃあ。……誠実に詳しく聞きたいです」
実唯が前のめりになって目を輝かせる。
それを見た透は表情を変えずに軽く笑った。
「ほんと?」
「恥ずかしいなあ」


