俺から瞳、逸らさないでね



実唯は照れくさそうに微笑んでもう一度レシピ本を開いた。



「今日ご予定は空いておられますでしょうか」

「……いま買い物に行く予定が入りました。実唯と。」



ぐっとオッケーサインをだす。

実唯はたのしそうに、嬉しそうに笑った。



「定員はありますか」



うおっ?


いきなり現れた、くっきりとした声に驚いて振り向く。

やっぱりそこには透がいて、胸が浮いたような感覚になる。



「はい」



大真面目な顔で手をあげる透。

嫌な予感を察知しながらも、しばらく様子をうかがうと、透はふにゃりと表情をゆるませた。



「俺も参加したい!」



……ええ


この人こんな感じだったっけ。初めての絡み方なんだけどなにこれ。実唯は人見知り発動してかたまってるし。



「……あんた、」



「あんたは女子かッ」



シーンとした空気をどうにかせねばという思いに駆られ、変に口走ってしまった。



「……」「……」



変な沈黙がうまれて、今こそ穴があったらそこにダイブしたいと思った。



「っぐふふふふッッ」