「今年だれかにあげる?」

「んー……ないかな」

「……だよねーー」



ガタン。


……またやってるわこの子


背もたれに頬杖をついて、がったんがったん椅子を揺らすミユさん。

この前それで滑って転んだの、なんで忘れてるかね。



「こける、」

「買ったやつとかでいいんじゃん?」

「……」



明るく遮られて口をとじる。

このままじゃ埒が明かないので、話にのってあげることにした。



「自分で買うんじゃない」



もう高校生だし。チョコレートくらい好きなの自分で買う。もし好きじゃないチョコだったら、あげた意味がなくなるもん。



「そうかぁ〜?まぁそうかぁ……」



しゅるりと頬杖から滑り落ち、腕にアゴをのせた実唯(みゆ)は、なにか物足りない目をしている。

その視線の先にはいつも誰かと笑い合う玲音(れおん)。



「……あげれば?」 

「えー……」



実唯は悲しそうに目を伏せた。



「ふふっ、やんないやんない。あいつあげても気づかないから」

「……ふぅーん」

「なによぉその反抗的な目はぁ」