俺の問い掛けには聞く耳を持たないとでも言いたげに、教授は提出した俺の用紙をクルッと椅子を回転させ後ろの机に置き、背中を向けたまま何やら書類の整理を始めていた。
「ありがとうございました」
これ以上聞いたところで無駄だと察し、その背中に深々と俺はお辞儀をしてドアの方に向かって歩き出す。
時は金なり。しかし時を急いではいけない。
挫折か……。
この言葉で思い浮かんだのは、やはりあの日の出来事。
あの日の出来事も、この先俺を成長させてくれたと思える日が来るのか?そう思える日が来て欲しいような、来て欲しくないような。過去の出来事として片付けられたくない未練がましい複雑な思いが体内を駆け巡っていた。
しかし、身近な良い手本とは、いったい……。