—こんばんは。メールありがとうございます。私も貴博さんにお話があって、今、ちょうどメールを打っていたところでした。年内に、もう一度逢って頂けるのですか?忙しいのに、とても嬉しいです。私も貴博さんにお話したいことがあります。仕事ももう年内はないので、何時でも貴博さんのご都合のいい日時で構いません。お返事、お待ちしています。 泉—
やっと気持ちも落ち着いて貴博さんにメールを打っていたところに、ちょうど貴博さんからメールが来て驚いた。25日にあった話を貴博さんに早く伝えたくて……。けれどメールではその内容を詳しくは説明出来ず、思案に倦ねていたところだったこともあって、貴博さんからのメールは本当に嬉しかった。それにしてもクリスマス・イヴに逢った、逢えたばかりの貴博さんにまた年内にもう一度逢えるなんて夢のようだ。今日は28日で、あと3日で今年も終わる。でもその3日の間に貴博さんに逢えると思うと、年末の慌ただしい雰囲気の中にあって、ただでさえ急かされている気がするというのに、それ以上に浮き足立ってしまいそうだ。今年最後の締めくくりとして、貴博さんと逢えることが嬉しい。貴博さんからのメールを待ちながら心はすでに何を着ていこうかと考えていて、自然とクローゼットの前に足が向いていた。しかし、貴博さんからのメールには家に来てくれると書いてあり、勝手に想像していた手を繋いで歩くシーンは実現出来そうになくて少しだけ気落ちしながらも、また貴博さんが部屋に来てくれることへの嬉しさが今は勝って夜も遅かったというのに掃除機こそかけはしなかったが、棚を拭いたり目に付いたゴミを拾い始めた。貴博さんにあの話を伝えたら喜んでくれるだろうか。それとも驚いちゃうかもしれないな。そんな明日の午後、貴博さんが来てくれてからのことを想像しつつ眠りに就いていた。
お昼は食べてくると言っていた貴博さんが、部屋のインターホンを鳴らした時間はちょうど13時で、何事にも几帳面で時間に正確な貴博さんらしいと思った。
「こんにちは」
「どうぞ。外は寒くなかったですか?」
「そうでもないかな。お邪魔する」