棚を開けごそごそするヴェロニカに、ダリア様は口を開いた。
「これね、無理を言って外国から取り寄せたのがやっと届いたの。花言葉は、『なぐさめ』と『元気』。ナターリア、お花は好きだけど、本物は見ていないから。でもこんなタイミングじゃ、さすがに笑えないわね。もう少し早く、違うものを渡したかったのだけれど」
「......そうですね」
彼女は決して嫌味で言っているわけではない。
でも、言葉がグサッと胸を突き、居たたまれない気持ちになった。
水差しを取り、花瓶に水を注ぎながらダレル様をちらりと見る。
まったく動かないでまるで...死んでしまったかのように見える小さな娘に、まず脈をとり「ナタリー...」と呟きながら手を掬い頬を撫でている。
すると、一拍おいて、半日以上起きなかった貧弱な娘が、ぴくんと微かに反応を見せた。
ダレル様の手を確かめるようにぴく、ぴく、と震えながら握ろうとする手。
瞼を開ける力は無いようだが、確実に意識が浮上した証拠だった。