ダレル様とナターリアの部屋の扉を閉めると、重たいため息が漏れてしまった。
今はダリア様が彼女の様子を見に来ている。
ナターリアは、昨日の夜早めに寝てから、目を覚ましていない。
体調が優れないことには前々から気づいていた。
寒い中部屋を出てまで書館に行く必要はないのではないか。
休むことを提案しても、彼女は頑として首を縦に振らない。
そしてあたしが無理強いできなかったのも、こうなってしまった原因の一つだ。
ずっとぼんやり虚ろな目をしていたナターリアは、初めて会った時、何も読めなかった。
神妙な面持ちで、微かに眉を寄せながら、食事をしているだけだった。