『ダリア様からお届けものだよ。

今日の花を渡し忘れたんだって。


あと、ダレル様がお昼過ぎにここに来いってさ』


細長いヴェロニカの字を読み、なるほどと察する。


レッスンの後、ダリア様はたまに花の絵をくれる。

毎日というわけではないから、忘れたら次回渡せばよいのだ。

彼女はヴェロニカをこちらに遣るためにわざととぼけたんだろう。


ではなぜか。


貰ったばかりの絵を見る。

美しい淡い赤紫色の下を向いている花。


〝シクラメン「遠慮」「はにかみ」〟


紙の端にはそう書かれていた。