要は、自分から自分を守れ、と、そう頼むのが、気恥ずかしくて申し訳なくて堪らないのである。


でも呼ばずに一人で行ってはダレル様や皆が心配する。


ヴェロニカ、ヴェロニカ。

何かの用事でこの部屋に来てほしい。


そう心の中で、ぐるぐると考え込んでいたら、空気が揺れた。



振り返ると、ヴェロニカが立っていた。


思わず目を見張り、駆け寄る。


そして羊皮紙と小さな羽根ペンを手渡し、なぜ?という顔を向ける。


読心術を心得ている人は、離れていても分かるのだろうか?


そう思っていると、ヴェロニカはしてやったりと言わんばかりの顔で筆記具を持った手を押し返し、逆にナターリアに別の羊皮紙を二枚渡した。