ひとしきり昨日の行動を後悔した後、ナターリアは気を取り直して立ち上がる。

レッスンは終わり、お昼も食べ終えた。


お茶の時間まで図書館に行ってみようと思ったのだ。

でも、と気弱な少女は思いとどまる。


図書館に行くには、誰かに付き添いを頼まなくてはならない。


呼鈴のひもは壁際にある。

それを引いて付き添いを頼む。

たった、それだけ。


......それだけなのだ。

だけど。


呼鈴を引けば誰かが来る。

それがたまらなく嫌なのだ。

誰かが気づいて、あ、ナターリア様がお呼びだ、と。

そう思われるのが嫌なのだ。