それから二週間後。

ダリア様との授業も、だいぶ慣れてきた頃。


ダレルとも口話できるようにならないとね、とダリア様が言った。

ダリア様のお喋りはほぼ判るようになった。

でも彼女が言ってくれるのは簡単な会話だけで「りんごの花の蕾が膨らんできました」とか、「まだドラゴンの卵は(かえ)りません」とか。


日常で使うことは出来てきたようだった。

時々わからないとき首を傾げて知らせると、もう一度言ってくれる。


選択肢をたくさん考え、瞬時に選び、唇の動きを見る。

最初はものすごく難しかったけれど、コツをつかむと、段々分かるようになった。

今は二回言ってもらえば、ちゃんと分かる。


それにこれは、結構ピエールのおかげでもあるのだ。