広くて長い、でも薄暗い廊下をヴェロニカに案内され、ついた先は意外にこぢんまりとした部屋だった。


部屋の割に広い机が中央にあり、椅子が等間隔に並べてある。

そのうちの一つに、弟よりいくらか色素の薄い豊かな髪を結い上げたダリア様が座っていた。


二人に気づくと急いで立ち上がりこちらに歩み寄った。


《おはよう!昨日ぶりね!》

そう言い、座っていた席の隣へと促す。


ダリア様は用意していたと見られる紙をドンっと意気揚々に私の前に置く。

───もちろん音は聞こえてこないのだけれど。


目を落とすと、やや大きめの柘榴色の字で紙が埋め尽くされていた。