目を覚ますと、目に飛び込んでくる立派な調度品の数々。


ああ、私は引っ越したんだった。



隣を見ると、誰もいなかった。

しかし少し形の崩れた枕が、ダレル様がそこで寝ていたことを証していた。


ベッドから下り、目をこする。

昨日までの(もや)がかかったような頭は、今はすっきりと晴れていた。


部屋の隅にある大きな姿見の前に立つ。



そこに映ったのは、鏡の繊細な模様の縁取りには不似合いな自分だった。


痩せこけた身体。
それを覆い隠すようなぶかぶかの水色の寝間着。
胸の下あたりまでの栗色の髪。
前髪から覗く、琥珀色の瞳。






〚 琥珀色の目を持つ石の精は、あらゆる宝石を生み出すことができる 〛






それが当てはまらない私は、本当に、誰なんだろう────