いつの間にか、きつく握っていた手の力を抜くと、羊皮紙には薄く皺がついていた。
慌てて撫で付けていると、部屋にダレル様が入ってきた。
どうすべきかわからず固まっていると、ベッドに腰かけ、紙をこちらに示した。
『ここは私の部屋だ。すまないが今は城の改装中でね。空いている部屋がない。』
それに、と口を動かしてまた走り書きする。
『君が思う以上に外は危ない。たとえ城の中であってもだ。しばらくは私の部屋で過ごすと約束してくれるね?』
ここは、ダレル様の部屋...!?
慌ててベッドから下りようとするナターリアをやんわりと止める。
手つきは優しかったが、力は意外と強かった。
『ベッドで寝なさい。私も横で寝るが、危害を与えないと約束しよう』