昼下がりのティータイム。

シャルデー地方の財政についての資料を読みながら、軽く休憩していたときだった。

彼女の甘い香りが強くなっていることに気づく。



政治棟に来たことなど、一度もない。

まして、今あの子は弱っている。


書類から顔を上げ、何事かと気になる。


しばらくするとやはり、「ダレル様。ナターリアがお話したいことがございます」とヴェロニカに抱えられたナタリーが現れた。



目線がほぼ同じくらいのヴェロニカから、今もなお凍えたように小さく震え続ける彼女を抱き上げる。


しかし昨夜より悪化はしておらず、意識もはっきりしているようだ。