部屋にあるドレスやコートを着られるだけ着込み、懐炉を持ち、ブーツを履いた。
お茶の時間まで、まだある。
ダレル様も、ヴェロニカも私は一人で過ごすのが一番気が楽だと知っている。
だから必要な時以外は、周りに人をいないようにしてくれる。
ついこの前までは、それは素直に嬉しいと思っていた。
でも。
嬉しい、ありがたい、と思いながらも、不安はどんどん大きくなっていくばかりだった。
なぜ、優しいのか、なぜ、こんなにも大事にしてくれ、教育まで施してくれるのか。
どうしても、どんなに頭を捻っても、わからなかった。
それに、ダレル様とお話する時間は、ナターリアのこれまでの楽しいを総動員させたくらい、満たされた気持ちになったのだ。
あんなにかっこいい人が私だけのために口ではなく手で、たくさんのことを教えてくれる。
でも、最近はお話どころか、顔さえも見れなかった。
昨日ひさしぶりに姿を見たけれど、放っておいたのに、放っておいたくせに、行かないでって言う。
彼は私をどうしたいのだろう。
私は彼にどうしてほしいのだろう───