時間の感覚が麻痺していたが、夜のようだった。

ほんの微かに、月光が差し込んでいた。

ぼんやりと暗闇に目が慣れてくると、もはや見慣れた天井画が見えてきた。

全知全能の神、ゼウスが天使たちと、神々と共に天空を舞っている。


あれがゼウス、向こうから順にアレス、アルテミス、デメテルと言うんだよ、とダレル様が教えてくれた。

アレスは戦いと厄災を司る神。アルテミスは、月と狩猟の女神。デメテルは豊穣の女神。


教えてくれたのは、全部ダレル様。


もっと、立派にならなくては。

僅かに首を回すと、美しい横顔で眠る王子は静かに眠っていた。


ずっと触れていた熱は、彼の指先だった。


そっと離れ、高さのあるベッドから下りる。

座ると足がつかないから、いつもそうしていたように軽くジャンプする。