そんなこんなで俺らは中学生になった。
周りは転校したりだとか、別々のクラスになったりだとか、様々な変化があったが俺らにはそれがなかった。
偶然なのか奇跡なのか。
…隣の席である。
そんでもって、中学校ではテストの点数に順位がつけられるらしい。
なんとも厄介なシステムだ。
小学校の時は目標もなかった為、点数も中の下くらいではあったが、中学では水月に釣り合うように少しだけ本気を出すことに決めた。
まぁ、その目標というか理由は後々分かる。
〘帰ろっか〙
『そうだな』
そうして、学校の正門を出たところで、水月が声をかけてきた。
〘ねぇ…〙
『うん?どうした?』
〘手…繋ぎたい〙
『あぁ…良いよ』
そうして手を繋いだのだが…
〘違うよ〙
『?』
〘恋人繋ぎで…がいい。〙
…無意識なのかわざとなのかは分からないが、その、上目遣い+目をうるうるは止めてほしい。
理性を保つのも大変なんだよ。
『わかったよ。
でも、どうしたんだ?急に』
〘寂しかった〙
『は?』
〘中学校に入ってから、教室で全然私の相手してくれない。〙
『あのなぁ…相手はしてあげたいけど周りの目が気になって出来ないんだ。
分かってくれ。』
〘…じゃあやっぱりあれをやるしかないかな?〙
『ぁぅ…』
〘ふふふ…けってーい!〙
『あ、ちょっと待てよ!』
俺らの家は学校から近いので、歩きなのだが、水月が走ると自転車よりも速い。
それについていく俺は大変だ。
途中で体力切れした俺は諦めて歩いて帰る事にした。
『なんだかんだあと五分位か。』
そうして家の前に俺はいた。
『なんか…嫌な予感がするぞ?』
恐る恐る玄関のドアを開ける。
鍵がかかっていない。
そして、そこに居たのは…。
〘おかえりなさい、日向君。
遅かったね〙
と、自転車よりも速い化物がそこにはいた。
『あれ~?帰る家間違えたかなぁ…。
家隣だし間違えることもあるかぁ…。』
と、玄関から出ようとしたが時すでにお寿司。
鍵を閉められていた。
〘さ、中に入って入って♪〙
間違いない。
ここは俺の家だ。
『ただいま、母さん、父さん』
〈[お帰り、日向。]〉
『ぁぅ…お久しぶりです。敦さんに咲希さん。』
〚私もいるよ~〛
『…瑠奏さんもお久しぶりですね』
《というか日向君。
いつになったら敬語を取ってくれるんだい?》
『それはなんというか…癖になってしまっているというか何というか…。』
そんな会話を交わした後、俺は手洗いうがいをし、ご飯を食べた後、ソファでくつろいでいたのだが…。
〘よ~いしょっとぉ〙
『…水月さん?
なんで、俺の膝の上にいるんです?』
〘嫌だった?〙
『別に嫌じゃないけどさ』
だからやめろってぇ!
その上目遣いは強すぎるって…。
『で、何時ころまで家にいるんだ?』
〘ご飯の時、話聞いてなかったの?〙
『え?』
〘今日はお泊りだよ?〙
『ぁぅ…そうですか。』
これは地獄だ。