『いやいや…好きってなぁ…。』
〘君は私の事嫌いなの?〙
『いや、そうじゃなくってな?』
〘じゃあ良いじゃない。
君、顔は整ってるし、女子の間では結構モテてるんだよ?〙
『君、そういうからかいは良くないと思うな』
〘からかいじゃ無いんだけどなぁ…。〙
『友達からなら…』
〘?〙
『友達からなら…良いよ』
〘ほんとに?〙
『うん…』
〘やったぁぁ!〙
『ってお前なぁ…急に抱きつくなよ』
でも、本当にこいつは可愛いんだよな。
そして、この瞬間も周りの視線がめっちゃ痛い。
俺、いつか殺されるんじゃないか?
まぁ、そんなこんなで俺らもついに小学校六年生となった。
この頃になると水月は何故か教室でも俺にくっついてくるようになった。
理由は女子たちを近付かせないようにだとかなんとか…。
そんな水月の行動に驚いていると、すぐに放課後になってしまった。
『さてと…帰ろっか。』
〘ん、珍しいね。
君から声をかけてくるなんて。〙
『たまにはそういう日があっても良いだろう?』
〘まぁ、私は嬉しいよ〙
そうして、家に帰ると…
『ただいま~』
〈[おかえり。]〉
と、父さんと母さんの声と一緒に
《やぁ、はじめまして、かな?》
『えっと…』
《水月の父の(あつし)だ。
少し、君の家にお邪魔しててね。》
〖母の咲希(さき)です。
よろしくね〗
〚……あ、姉の瑠奏(るかな)だよ。
よ、よろしくね〛
そんな会話をしてると玄関のドアが開いた。
〘お、お邪魔しま~す〙
案の定、水月である。
『えっと…なぜこんな状況に?』
[えっとねぇ…近所付き合いで仲良くなって…
水月ちゃんと仲がいいってことで私達も仲良くなったと言うかなんというか…]
『それで初日にこんな感じと。』
[まぁ、正確には前からなんだけどね…うん。
そんな感じ。]
『相変わらず母さんの人柄の良さには呆れるよ。
…いい意味で。』
〈所で…〉
と、父さんが口を挟んで…
〈彼女がいるなら何故言ってくれなかったんだ?〉
と言うもんだから
『〘ふっ……!!!〙』
と、二人揃って吹き出してしまった。
『いや、別に彼女…って訳じゃなくて。』
と、横目でチラッと水月を見ると悲しそうな顔をしてる。
『えっと…友達以上恋人未満みたいな?』
〈ふむ。
今の若い子は難しいんだな〉
〖そうだ。
水月、今晩はこの家に泊まっていきなよ〗
〘ふぇ?〙
[そうね、それが良いわ]
ママ友というのは怖いものである。
そして、本当に止まることになったのだが…
『どうしてこうなった?』
〘だって、この部屋に泊まって~って言ってたよ?〙
『…ベッドを貸してやったろ』
〘君が敷布団じゃ風邪ひいちゃうし。
…逆だと君が嫌がるし。〙
『風邪ひかねぇし、なぜこうなる。』
〘えへへ~暖かい〙
聞いてねぇし…。
『なぜに…同じベッドで寝る羽目になるのだ。』