彼女と出会ったのは19年前。
遥か昔の小学校入学式の時だ。
入学式の後に自分達の教室を教えられ、そこに行った後、それぞれの自己紹介という感じだ。
そんな、今思えば訳分からないしつまらないイベントの中に、彼女はいた。
その時はまだ彼女に興味など起きなかった。
同じクラスで隣の席のすごく明るい女の子。
名前は明星 水月(あけぼし みずき)
知ってるのはそれくらいだ。
自己紹介なんて聞いちゃいなかった。
ただ、楽しく、静かに学校生活を過ごせれば良かった。
でも、入学式から数日たったある日の下校途中。
水月が声をかけてきた。
〘ねぇ、一緒に帰ろうよ〙
『え、急にどうしたんですか?』
と、急に声をかけられたことで思わず敬語で返事をしてしまった俺に対し、水月は
〘ふふふ…なんで敬語なの?
同じ学年の、同じクラスメートじゃない〙
と、変わらずに接してくれたので俺も安心して
『あ、うん。
そうなんだけどね。』
と、普通に返事をすることが出来た。
後の話で、このときには既に俺に惚れていたみたいだ。
『それで、一緒に帰るんだっけ?
俺は良いけど君はどうなの?』
…思わず上から目線になってしまった…。
嫌な気持ちにさせただろうか。
〘どうなのって…面白いこと聞くね。
私は君と帰りたいからそう聞いたんだけど。
家の方向も一緒みたいだし〙
『え、そうなのか。』
〘うん、そうだよ~。
君、帰りの会が終わったら直ぐに帰っちゃうからさ…中々声をかけれなかったんだよ〙
『あ、あぁ、そりゃあクラスに残ってても意味ないからな』
〘でも、今日から意味ができたね!〙
『は?なんのだよ』
〘私と一緒に帰るっていう意味だよ!〙
『今日だけじゃないのかよ!』
〘当たり前じゃんっ〙
と、そんな感じでその日からずっと、下校時は一緒に帰ることになった。
最初は面倒くさかったものの、途中からは少しだけ楽しみになってきていた。
そして、2学期のある日あることに気がつく。
『なぁ…』
〘どうしたの?〙
『もしかして、君ってモテてる…?』
〘へ?…あ、う~ん、、、そう…かもね〙
『やっぱりそうかぁ』
〘急にどうしたの?〙
『いやさぁ…帰るときに視線が痛いんだよな』
〘へ~君ってそういうの気にするんだ~〙
『いや、そりゃな』
〘じゃあさ〙
そう言って、水月はいきなり手を繋いできた
『は?おま、何して?!』
〘…君、面白いね〙
と、水月はクスクスといたずらに笑っていた。
『~~っ…恥ずかしいからやめてほしい
あと、勘違いされるぞ』
〘なんの勘違いよ〙
『俺らが付き合ってるっていう勘違いだよ』
〘ふ~ん…別に良いんじゃない?〙
『は?』
〘だって、私君のこと好きだし〙