『ふはははははははははは!!!!!!』
俺は狂ったように笑う。
何もかもが壊れた世界で壊れた俺は嗤う。
壊れた世界で壊れた心を持つ俺は壊れた街と壊れた人たちを見て壊れた嗤いを発する。
本当に、くだらない。
この壊れた服の下にある何かはいつの日か笑いあった、生きていた何か。
この石や鉄はいつの日か、友や彼女と過ごした何か。
この壊れた何かは何かを愛した何か。
すべてが壊れた物は意味をなさない。
それに気づいたのはいつの事か。
それでも、俺にもそれらに意味を見出そうとしたこともあった。
そして、無理矢理でも意味を見出したこともあった。
それでも、今はすべてが無意味だ。
目の前にある“何か”も、俺が成すことも。
目の前の“何か”がある理由も、俺が生きる理由も。
「貴方は何を望みますか?」
『?』
「この世界で貴方は何を望みますか?」
『ふははははははははははははははは』
俺は狂った嗤いを発する。
『何を望むか、だって?
そんなの、とうの昔に無くなってラァ』
「では、その昔になくなってしまった願いすらも叶えられるとすれば?」
そんなの、ありえねえよ。
『そんなこと出来たら苦労しねぇんだよ。
友達も彼女も父も母も…町も市街地も商店街も都心も地方も国も世界も…心も体も…何もかも』
「……。」
『例え、願いがかなったとしてもこんな世界じゃ未完成に終わる。』
「それでも、叶えたいと思わないのですか?」
『あぁ。
確かに思ったさ…あの時まではな。』
「あの時…ですか?」
『知ってるんだろう?
あんたが神だって事は分かってるんだよ』
「さぁ、どうでしょうね。」
『はっ…諦めの悪いやつは嫌いだよ。』
そう。あの時は…願いがあって叶えたいと思った。
それこそ、自分の命に変えてでも。
_____。
〘ごめんね。
やっぱり…そうだった。〙
『ううん…大丈夫だよ。
…きっと、治療法はあるからさ、一緒に探そう!』
〘うん…そうだね。〙
このときの俺は本気で思ってた。
でも、ある日彼女は言った。
〘ごめん…本当にごめん。
私と、別れてほしい。〙
『急にどうしたんだよ
理由を聞いても良いか?』
そう俺が聞いても彼女は何も言わず、ただ
〘……大好きだよ。
最期まで…愛してます。〙
そう言って家を出た。
俺はあとを追いかけた。
玄関を出た僅か数秒の間。
彼女がドアを閉め、俺がドアを開ける僅か数秒。
10秒にも満たない。
ううん、5秒にも満たないかもしれない。
そんな時間で、彼女は。





































_______砂になった。_______