「それがさー、西中の野球部がみんなカッコよかったのよ。私の周りも
けっこう自分の学校よりも西中の選手にロックオンしちゃって、試合が
終わった後に写真とか一緒に撮ってもらったりしてね」


あの時の光景を走馬灯のように思い出す。
まっつん、君はあの一団の中にいたのか。


「でも水上はあの時からホント素っ気なくてさー、誰も写真も撮れず
連絡先もゲットできずで。私もあの時実は水上に声かけてたんだー」


こないだ本人にその話したけど1ミリも覚えてなかったわ、と苦笑いする
まっつんと向かい合う私の顔も、たぶん引きつっていたと思う。


「ていうか翔平って野球部だったんだ、知らなかった」


晴夏の横で私がうんうんと頷く。これくらいは知っててもおかしくない
はずだ。翔平のことをどこまで知っている設定にするかのさじ加減が
なかなか難しい。まあ、身から出たサビなわけですが。