素直になれない私たち


「翔平...?」


誰もいない教室の片隅で、私は翔平の腕に行く手を阻まれていた。
つまり壁ドンのような体制。しばらく見つめ合った後、翔平は大きな
ため息をひとつ吐くと私の左肩に額を乗せた。


「さっきの、俺真に受けていいの?」


私が返事をする前に、翔平はもう一度呟く。


「俺はあかりの彼氏ってことでいい?」


やっぱり、付き合ってると思ってたのは私だけだったの?
私はこないだ私の部屋でキスをしたときから、やっと翔平の彼女に
なれたと思っていたのに。私は翔平の腕を軽く押して少しだけ体を
離すと、翔平の両頬をつまんだ。


「こっちはとっくにそのつもりなんですけど」


ちょっとこらしめたいという気持ちが前に出て、翔平の頬をつまむ
指先に力が入る。イテテ、といいながら翔平は私の手を優しく払い
のけると、そのまま私の背中に両手を回してぎゅっと抱きしめた。

そんなに強く抱きしめなくても、私はどこにも行かないよ、翔平。