「あかりー、お前サッカー部の1年生エースを手玉に取ってんだって?」
私はカバンを大きく振り回して南の背中に命中させた。教室を出て南と
晴夏が前を、私と翔平がその後を歩いていて、早速調子に乗って話を
大きくする南に私は制裁を加えた。
「もったいないなー、あのコ1年生の間で王子っていわれてるんだって」
南と晴夏は本当に好き勝手なことばかりいうんだから困ってしまう。
平静を装う翔平と並んで歩く私は、教室を出てからまだ言葉を交わして
いないというのに。
「だって私、彼氏いるもん」
思わずつぶやいた一言に、並んで歩いていた翔平が足を止めて私を見つ
める。
え、私何か変なこといった?ちょっと待って、もしかして私と翔平って
まだ付き合ってない?そういえば確かに付き合おうとか好きとかいって
ない、気がする。私は目を丸くしている翔平と向き合い、恐る恐る声に
出した。
「付き合ってるって思ってたの、もしかして私だけ...?」
私の声は消えてしまいそうなくらい小さくなってしまった。だってこの
勘違いは恥ずかしすぎる。そんな私の腕を軽くつかむと、翔平は通りが
かりの誰もいない空き教室に私を引っ張り込んだ。
「...あれ、翔平とあかりどこいった?」
私たちの姿が見えなくなったことに気づいた南を、晴夏が察して『まあ
いいでしょ、すぐ来るだろうから先行こ』といって連れ出した。

