素直になれない私たち


「三浦先輩、ちょっといいですか?」


私を先輩、と呼ぶということは相手は1年生だ。どこかで見たこと
あるような気もするけれど思い出せない。晴夏にちょっと行って
くるね、といって私は席を立った。


「あれはサッカー部の1年生エース、女子人気も高い久保くん」


私が教室を出た後にまっつんが晴夏のもとに駆け寄ってきて、彼の
素性について説明した。


「数多くの女子からの告白を『好きな人がいる』って断ってるって
話だったけど、あかりちゃんだったのかあ」


「マジで?やばいじゃん翔平」


「ていうか、あかりちゃん告白されるとか微塵も思ってないよね。
ずっと思ってたけど...その手の話鈍いよね?」


「あー気づいちゃった?谷口先輩のことも周りはみんな気づいて
るのに、わかってなかったのあかりくらいだったからね」


そうこうしているうちに翔平と南が教室に戻ってきた。


「お待たせしましたー、ってあれ、あかりは?」


返事をせずじーっと翔平を見つめる晴夏とまっつん。
なんだよ、と眉間にしわを寄せる翔平をよそになになにどうした、
と大きな目を丸くして問いかける南に晴夏が答える。


「サッカー部の1年生エースがさらって行きましたー」


「「は?」」


翔平と南、2人の声がハモった。