「...私たち、2年間無駄にしちゃったね」
「そんなことない。今こうやってあの頃のことをちゃんと話せて、
こうして向き合うことができてる。だからきっと無駄じゃない」
そういわれて、私は嬉しくなって思わず翔平の腕をぎゅっと掴んだ。
「背が少し伸びたこと以外、俺は何も変わってないよ」
「私も、髪が少し長くなったくらいだよ。ていうか、翔平はあの頃
より少しクールぶってるよね。本当はもっとよく笑うのに」
「大人になったんだよ」
思わずフッと吹き出してしまい、何笑ってんだよ、という翔平の胸
に埋めていた顔を上げると、至近距離に翔平の顔があって、視線が
合ってそのまま見つめ合う。そのまま自然に目を閉じて、お互いに
顔を近づける。
「あかりー、紅茶のおかわり持ってきたわよー」
ドアのノックとほぼ同時にドアノブに手がかかったのを察し、私は
慌てて翔平の体を押して離れ、体制を立て直すと、何事もなかった
かのようにお母さんから紅茶のポットをのせたお盆ごと受け取り、
ニヤニヤしながら部屋に入ろうとするお母さんを押し出した。
ドアを閉めて振り向くと、今度は翔平が笑いを堪えている。
「...うちのお母さん、あんな感じだからね(2回目)」
うん、わかってる、といって翔平は笑みを浮かべながらお盆を受け
取ろうと手を伸ばした。ありがと、といってお盆を渡しさっきいた
場所に腰を下ろすと、翔平が私の体を引き寄せてもう一度さっきの
体勢に戻した。
「さっきのリベンジ」
好きな人との久しぶりのキスは、アールグレイの香りがした。

