「...全部、知ってたんだな」
翔平が私の髪を優しく撫でながら続ける。
「あの時から突然連絡つかなくなって、あかりに避けられるように
なってさ。夏休みあんなに楽しかったのに、なんでいきなり振られた
のかマジでわかんなくて。あの頃あかりがよく一緒にいた友達とか
つかまえて聞いても『知るか、バカ』とかいわれてさ。わけわかん
ないまますげーへこんでた。でも」
そういうと、翔平の腕に力が入って、私たちの体がさらに密着した。
「俺も同じ。あかりに直接理由を聞きに行けばよかったのに、そう
しなかった。今思えば簡単なことなのに、あの頃はあかりにもうそれ
以上拒絶されるのが怖かった。悶々としながらふてくされて、ほんと
どうしようもないガキだったんだ」
翔平の腕の中で目を閉じて思うこと。
あの頃は自分のことしか考えられなくて、悲劇のヒロインのように
なっていた。だけどそんな私の振る舞いで翔平だって傷ついていた
のだ。そんなことにも気づけなかった私と、そんな私に声をかける
ことができなかった翔平。もしあの頃、今の私たちのように少しでも
素直に本音をぶつけ合うことができていたら、何かが変わっていただ
ろうか。

