わたしは震えながら告白をしてチョコの入った箱を差し出す。

「…………」

 どうしよう、魔王様、無言になっちゃった…。
 クラスの子のバレンタインチョコ、ぜんぶ断ってたし、やっぱり、無理……

 魔王様は右手でチョコを受け取る。

 え…………。

「あ、あの……?」

 魔王様は左の掌で顔を隠す。

「……教室で工藤(くどう)せんぱいに渡す予定って言うの聞こえて諦めてたけど」
「まさか本命チョコ貰えるなんてな」
「嬉しすぎてやばいわ」

 え? 嬉しい?
 聞き間違えかな……?

 左手を下ろし、魔王様がわたしをじっと見つめる。