ヤケを起こして、魔王様を自分の部屋に招き入れてしまったこと自体、恥ずかしい。
だけどそれがなかったら魔王様と関わることはなかったし、まぁいいか、と今では開き直っている。
「姫石?」
隣に座りながらわたしは恐る恐る紙袋からチョコの入った箱を取り出す。
「工藤せんぱいに渡せなかった…」
「そうか…」
「……なんて嘘。最初から工藤せんぱいに渡す気なかった」
「魔王様に食べて欲しくて買ったチョコだから」
「は…?」
魔王様は驚く。
この先を言ったらまた傷つくかもしれない。
泣くことになるかもしれない。
だけどもう、気持ちがあふれて止められないの。



