彼女に出逢って2週間が過ぎようとしていた。




ここ色葉(いろは)高等学校は、一学年5クラスある。




彼女は同じクラスではなかった。




それどころか、未だに彼女を見つけられていない。




だってこの時は名前をまだ知らなかったんだ。




誰にも、親友の沼倉 裕紀(ぬまくら ゆうき)にさえも、彼女の存在については言っていない。




だから、下手に行動することもできない。



「しぐれさま、おはようございます。」
「しぐれ、おはよお!」
「しぃーぐぅーれぇーーー!!おはよおおおおお!!」




「なんなんだよ、さっきから」




見ての通り、裕紀は生粋のポジティブムードメーカー陽キャ。




こいつがいるだけで、クラスの雰囲気がぱっと明るくなる、




気がする。




「いいだろ?雨の日ぐらい、心は晴れ晴れとしていなくちゃ」




「な!みんな!」




「......」




「なんでだよ~」




ほら、こうするだけでクラスのみんなが笑う。




僕とは大違い。