6月1日。





この日は雨が降っていた。





なんとなく家から最寄りのコンビニに行き、ふらふらしていたらいつの間にか駅まで来てしまっていた。





家を出てから15分は立っていたようだった。





このまま家に帰るのも面倒だと思い、カフェに寄ってみた。





入った瞬間、息を吞んだ。





まるで、そこにいた人だけ、フィルターがかかったようにきれいに見えた。





その人は、僕と同じ制服を着ている。リボンも青色。





同じ2年生だった。





こんな感覚は初めて―――ではなかった。





どこかで会った気がするんだ。でも、





思い出せない。





というか、あんな子僕の高校にいたのだろうか?





分からない。





とりあえず、彼女が少し見えるくらいの席に座り、アールグレイを頼んだ。





彼女はイヤホンを付けて課題に取り組んでいる。





あまりじーっと見てしまうと、ストーカーのようになってしまうかと思いやめておいた。





店にはアンティーク調の家具が置いてあり、小洒落た隠れ家的な感じだった。





ふらっと入ってきたものだから調べてみると、店名は





Petrichor(ペトリコール)





というそうだ。





頼んだアールグレイは青いガラスのカップに入っていて、とても綺麗だった。





30分くらいしたころ、彼女が会計をして店を出ていくところだった。





気になって入口を見てみると、傘がなくて困っていた。





「あの...よかったらこれ使ってください。」





「...え?」





気が付いたら駆け寄っていた。





彼女は少し驚いていた気がする。





どうせいいじゃん、さっきコンビニで買った300円スケールのやつだし。





「それでは。」





傘を彼女に押し付けて逃げるように店内に戻った。





















これが、僕。

池月 (いけつき)時雨(しぐれ)、高2。





後に知った彼女の名前は、











































三笠 (みかさ)碧晴(あおは)、同じく高2。