もっと一緒に過ごしたかったなぁ、なんて言って頬を膨らませながら、お土産がぎっしり入った箱を持って玄関へと向かうメープルくん。

こんなに可愛い雰囲気なのに重そうなその箱を軽々と持つのだから、やっぱり男の人なんだなと思う。

そのちょっとしたギャップになぜだか胸の辺りがそわそわと落ち着かない気分になって、パンプスに足を通しながら私は眉をしかめた。

その気持ちをかき消すように「おじゃましました」と口にすると、「ふふ、お邪魔じゃないので、また来てね?」と返ってきて、ますますよく分からない感情が込み上げる。


この子は、人のことを迷子にさせる天才だな。

それとも私が迷子の天才か?

まあそれは一理ある、私は根っからの方向音痴だからきっと心も迷子になりやすいんだと思う。


――ワイン五本、シェリー酒一本、マロンクリームの缶などその他諸々の入った箱を私の住むマンションの部屋の前まで運んでもらい、お礼を言って別れる。

それにしてもお土産の量が大量だ。

これは本当にお土産の域を超えている、絶対に。

一体なぜ彼はこんなに買ってしまったのか。

私のことを考えながら買ったと言っていたけど、なぜ私のために、こんなに……?

どれだけ考えても全然分からなくて、私は早々に考えることを放棄した――。