隠れ御曹司の愛に絡めとられて


風が冷たいから一気に手が冷たくなってしまったけど、コートのポケットに入れてしまえば問題ない。

彼はこのあとまた車を運転しなきゃいけないし、手が冷えたらハンドルを扱いにくいかもしれないから、彼の手袋を借りる気はない。


「……じゃあ、こうしよう、そしたらもっと暖かいし」

「……ええ?」


私を夜景が見えるように立たせると、彼は私の後ろにピッタリとくっついた。


「えっ、あの、えっとっ」


私がうろたえているうちに、彼の手に私の手が包み込まれ、私のコートのポケットへ……。

彼の右手と私の右手が右ポケットに、彼の左手と私の左手が左のポケットに……。

手袋を外した彼の手はとても温かくて……冷たくなってしまっていたのが徐々に暖かくなってくる。


「やっぱり亜矢さんの手、だいぶ冷たくなっちゃってたね。ごめんね」

「……」


いや、あのちょっと、メープルくんっ。

どう言う状況よ、これっ。

私の背中が彼に密着していて、いやあの、暖かいんだけど、ちょっと待ってよっ。

手も繋いじゃってるし、身体は密着してるし、おまけに、彼の声が耳元で直接聞こえてきて、どうにも落ち着かない。

あまりのことに、心臓がバクバク言ってる。