隠れ御曹司の愛に絡めとられて


「外だから寒いけど、大丈夫?」

「あ、だから暖かい格好って……」

「うん」


ドライブに誘われた時、電話で『一番暖かい格好で来て』と言われてたのだ。

なるほど、屋外の展望デッキに行く予定だったのか。

今日は比較的暖かい方とは言え、1月下旬の夜はとても冷える。

しかも高いビルの屋上で屋外ともなると、風も強そうだ。

一気に体温を持って行かれるに違いない。


「寒いけど、冬の方が綺麗なんだよね」


なるほど、それはその通りだと思う。

どんな綺麗な光景が待っているのか、期待が高まる。

途中からは外が見えるエスカレーターで展望デッキへと上がる。

この場所から見えてる時点でも、もうすでに綺麗だ。

一番上へ到着すると、やっぱり風が結構強くて髪が乱れたけれど……そんなことはどうでも良くなるくらい美しい光景が眼下に広がっていて……。


「……うわぁっ」


思わず感嘆の声を上げる。

さすがにこれは圧巻だった。


「綺麗……」

「ね、綺麗だねー」


ガラスの向こうに吸い寄せられてしまいそうなほど、キラキラした光が広がっている。


「寒くない?」

「うん、大丈夫」

「ごめん、手袋も持ってくるように言えば良かったね。僕のじゃ大きいかもだけど、使って?」

「え? ああ、ううん、平気。ポケットに入れれば大丈夫だから」