隠れ御曹司の愛に絡めとられて


「会うの、二週間ぶりぐらい?」

「……そう、かな」

「元気だった?」

「うん、まぁ、そこそこ」

「そっか。それなら良かった」

「……うん」

「僕はねー、全然元気なかった」

「……風邪でもひいてたの?」

「あー、風邪、いいね、ひきたかったかも。そしたら亜矢さん、看病しに来てくれた?」

「……え、ごめん、辿り着けなかったと思う……」


私の正直すぎる返答に、メープルくんは「あはは、そっかー」と笑う。

もし無事に辿り着いたとしても、私は彼みたいにお粥を作ることなんて出来ないし。


「僕はね、亜矢さんに会いたいのに会えなくて、元気なかったよ」


そんな甘い言葉を口にするときって、どんな気持ちで、顔をしてるんだろう?

気持ちを知ることは出来ないけど、と思いながら運転する彼の横顔をチラリと盗み見る。

彼は、いつも通りのにこにこ笑顔。

チラ見するだけのつもりが、横顔さえも綺麗すぎて目がそらせなくなる。


「……ん?」


私の視線に気づいた彼が小首を傾げた。

ちょうど前の信号が赤になったらしい、車が減速して停止する。

タイミングが悪い。


「亜矢さん、なぁに?」


……なんなのこの男。

なんなのその問いかけ。

自分が可愛いって知っててやってるとしか思えない。