隠れ御曹司の愛に絡めとられて


まだ少し半乾きの髪を慌てて乾かして、念入りにブロー。

さすがにこの時間からフルメイクをするのはイヤだから、ほんの少しだけ粉をはたいて、唇に淡めの色のリップをのせる。

私のこの派手な顔なら、目元メイクをしなくても結構ちゃんとメイクをしたように見えてしまうのがコワイ。

まじまじと鏡を見つめたあと、ビューラーで睫毛をくるんとカールさせた。

たったこれだけでますます派手な顔になって、自分の顔が心底キライになりそうだ。


出来ればもっと可愛げのある顔が良かった、例えば後輩の若月ちゃんみたいな顔とか、同期の美紀みたいな。

けれどもそれは無い物ねだりにしか過ぎなくて、私はこの派手な顔と一生付き合っていくしかない。

どうやっても彼女たちみたいにはなれない、整形する以外には。

整形なんて現実的じゃないし、だからと言ってもうどうしようもないから本当に嫌になる。


自分の顔と格闘するのは終わりにして、クローゼットからセーターとパンツを引っ張り出した。

愛用している冬用のもこもこパジャマを脱いで、それらに着替える。

一番暖かいコートを羽織り、マフラーを巻く。


あっという間に準備を終えてしまって、こんなのまるで恋人と会う時間が待ち遠しい女みたいだ。

ちがう、そんなんじゃない、元々身支度にそんなに時間がかかるタイプじゃないから私!