「……」
『無言なの、ますます怪しい~! 今度なにがあったか教えてよね!?』
教えられることなんて何もなくて、思わず眉間に皺を寄せた。
けれどもそれが電話の向こうの美紀に伝わるわけもない。
『あ、ごめん、私いまからデートだから! じゃあまたね!!』
「え、あ、ええ? うん、またね……?」
すぐに通話が切れた。
私の返事は彼女に聞こえたただろうか……?
それにしても……デートか、いいな。
しかも今からって、もしかしてお泊まりデートか???
……て言うか、美紀って確かつい最近まで付き合ってる人っていなかったよね?
と言うことは、先日のあの合コンで誰かと意気投合して付き合うことになったってことか。
あの時すごく話が弾んでいたから、当然と言えば当然なんだけど。
そうか、美紀はうまくいったんだな、良かった。
あの三人の中の誰と付き合うことになったのか今度教えてもらわないと。
とりあえず厳しく尋問されなくて良かった……、美紀の彼氏さま、ありがとう。
そんなことを考えていたら……さっき切ったばかりのスマホが着信音を鳴らし始めた。
美紀、何か私に言い忘れたことでもあるのかな、なんて思いながら画面を見る。
――“メープルくん”
画面にそう表示されていて、思わず息を飲んだ。
なぜだか動悸が激しくなる。
そのせいか、スマホを持つ指が、通話を選ぼうとする指が、震える……。
意味が分からない。
こんな風になる意味が、分からない……。



