言われて、慌てて登録――しようとしたけど、何て言う名前で登録すればいいんだろう……?

今さら『名前なんだっけ?』とも聞きにくい……。

うーん困った。

目の前では、まるでわんこのように目をキラキラさせて、私が登録するのを待っている男がいて……。


えーい、もう、これだ!

と、私はなるべく彼に見えないように、その名を素早く打ち込み、登録する。


「……できた?」


彼の無邪気な問いかけに、うんうん、と私が首を縦に振ると、彼は「良かった~」と嬉しそうに笑う。

ああもう、どうしてきみはそうなんだ。


……手慣れてる。

いつもその手を使って女の子と連絡先を交換してるんだろうな……。

もしかするとあれかな、相手によって複数のスマホを使い分けてたりするんじゃないのかな。

夜の商売の人ってそう言うことやるらしい、って聞いたことがある。

だったら私はどのランクに入れられたんだろう――なんて思ってしまって、そんな自分自身の思考に落胆した。

どうだっていい、チャラい男は好みじゃないし、相性も良くないもんきっと。

そう考えて、私は心のシャッターをしっかりと閉じた――。